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この分では永くなりさうだと思つて、房一が腰を浮かし気味にすると、
彼は自信を失つた。それにこの苦痛と動揺は明らさまに説明しにくい、説明したところで判つてもらへない種類のことだつた。房一はそれを盛子の妊娠の揚合にも経験した。
徳次は急に目くばせをした。
庄谷の細い眼が又微笑した。だが、その瞬間に現はれたほんの少しの人なつこさ、古い記憶のほのめきは、すぐ又大急ぎでどこかへ隠れこんで行くやうに見えた。
「や、先日はどうも――」
心持照れ臭さげにしながらも、盛子は快活などこか家庭的な確しつかりさといつた風なものを現して、この一日造りの漁師達を眺めた。
「どうだ。起きられるか」
「坑には入つてみたんかね。あすこはもう何年も入つた人がないちふことだが」
「フム」
「きさま!あれほど云つたぢやないか。何んだこの真似は!」
「ふうん。ひどい奴だねえ」
「へえ。――わし達は小倉組の者ですが、ちよつと怪我人ができましたよつて、せんせいに御面倒かけに上つたんですが」
「ふむ、ふむ」